関西支部技術賞

2024年度 土木学会関西支部技術賞・技術賞部門賞を決定しました

 土木学会関西支部技術賞は、土木技術の発展に貢献する優れた業績を表彰することにより、その成果をたたえるとともに支部会員の意識の高揚を図ることを目的として1982年に設けられた表彰制度です。

 2024年度は7件のご応募をいただき、選考の結果、技術賞3件と技術賞部門賞3件を決定しました。
 技術賞の表彰は、2025年5月9日に建設交流館で開催される「土木学会関西支部 第98回支部総会」で執り行われ、賞状などを授与いたします。

 なお、掲載の記事・写真・図表の著作権は、受賞団体および公益社団法人土木学会関西支部に帰属します。

技術賞

【対象業績】
阿波座付近鋼桁大規模修繕 都市高速道路供用下での鋼桁取替による縦目地解消
橋脚梁部の拡幅および拡幅桁の架替え完了後の全景

橋脚梁部の拡幅および拡幅桁の架替え完了後の全景

【受賞者】
阪神高速道路株式会社
【業績説明】
【授賞理由】
 本業績は、既存施設の特性や周辺条件を踏まえ、常時は荷重を支持しない橋脚に、地震時水平力を分担させるという独創的な設計と施工の工夫により、高速道・一般道の両者の交通への影響や周辺への騒音を最小限に抑えつつ、既設構造物を活用した効率的な改修を実現している。狭隘な都市部での施工における技術的な工夫による地域社会への貢献や工程短縮を達成したことから、今後類似した維持管理工事への応用の可能性を示している点を評価し、技術賞とした。

技術賞

【対象業績】
大阪駅西部プロジェクト ~駅の利便性と回遊性を向上した大ターミナル工事~
大阪駅西部プロジェクトの開業状況

大阪駅西部プロジェクトの開業状況

【受賞者】
西日本旅客鉄道株式会社
大鉄工業株式会社
ジェイアール西日本コンサルタンツ株式会社
【業績説明】
【授賞理由】
 本業績は、大阪駅西部へのアクセス性や乗り換え利便性、および周辺への回遊性の向上等を目的とし、新改札口の整備や新駅ビル・地上駅舎の建設、歩行者ネットワーク整備等を実施したものである。大ターミナル駅の周辺という厳しい施工環境、限られた期間や十分な情報が得られない等といった多くの制約条件の中、利用者の利便性を損なわず、かつ安全に短工期で完遂し、大阪の新たな顔となるうめきた2期地区との回遊ネットワークを整備した点を評価し、技術賞とした。

技術賞

【対象業績】
大阪・関西万博に向けた埋立て地盤での開削トンネルと泥土圧シールドの施工
駅部・南線路部(開削トンネル)と線路部(シールドトンネル)の築造

駅部・南線路部(開削トンネル)と線路部(シールドトンネル)の築造

【受賞者】
大阪港湾局
大阪市高速電気軌道株式会社
大林・熊谷・東急・東洋特定建設工事共同企業体
【業績説明】
【授賞理由】
 本業績は、大阪・夢洲の軟弱な地盤において、埋立て用のドレーン材や地中構造物が存置されている等といった困難な施工条件を、特殊な切断機構をシールドカッタヘッドに装備する技術や、存置鋼管矢板の全断面切削といった技術によって克服し、工期内に無事故無災害で難工事を成し遂げたものである。また、発注方式にECI方式を採用することにより事業を効率化し、手戻りのない施工で工期短縮を実現できた点を評価し、技術賞とした。

技術賞部門賞 (喜ばれる技術)

【対象業績】
一級河川熊野川を渡河する7径間連続PC箱桁橋の施工
和歌山県・三重県をつなぐ熊野川河口大橋の全景

和歌山県・三重県をつなぐ熊野川河口大橋の全景

【受賞者】
国土交通省近畿地方整備局紀南河川国道事務所
前田建設工業株式会社
大成建設株式会社
【業績説明】
【授賞理由】
 本業績は、一級河川熊野川の河口部より約700m上流に橋長821mの「7径間連続PC箱桁橋」を架橋する工事である。水位予測モデル構築等の技術により安全な施工環境を確保し、厳しい現場条件を独自に組み合わせた技術の工夫で克服して無事に工事を成し遂げている。特に、地元対応として現場見学会を約30回(のべ参加人数1,000名)実施する等、地域への貢献だけでなく、体験型イベントなど建設業界の魅力発信に努め工事を進めたことを「喜ばれる技術」として評価し、技術賞部門賞とした。

技術賞部門賞 (使える技術)

【対象業績】
河川橋脚の急速・高度な施工技術 ~万博アクセスルート:豊崎IC(仮称)~
合理的設計と高精度管理を実現した鋼管井筒基礎の施工

合理的設計と高精度管理を実現した鋼管井筒基礎の施工

【受賞者】
大阪市建設局淀川左岸線2期建設事務所設計課
阪神高速道路株式会社建設事業本部大阪建設部
清水建設株式会社
東亜建設工業株式会社
大豊建設株式会社
【業績説明】
【授賞理由】
 本業績は、既設橋梁との近接工事や限られた工期等の厳しい施工条件下において、高度な施工技術と厳しい工程管理により工期短縮を実現したものである。大深度脚付き型鋼管矢板井筒基礎の導入、高精度での杭打施工、ユニット型枠導入による効率化、トランシット測量やデジタル傾斜計を駆使した高精度出来形管理手法の確立等を「使える技術」として評価し、技術賞部門賞とした。

技術賞部門賞 (新しい技術)

【対象業績】
ハイブリッド方式の導入による次世代下水道への挑戦
場内整備後のイメージパース

場内整備後のイメージパース

【受賞者】
大阪市
【業績説明】
【授賞理由】
 本業績は、全国初の水処理施設の改築更新にPPP手法を用いた性能発注を行い、膜分離活性汚泥法と嫌気無酸素好気法を組み合わせたハイブリッド方式による水処理を導入することで処理水質の向上と施設のコンパクト化を実現させたものである。さらに、高速ろ過などの新技術を導入することで、下水処理技術の向上に寄与したとともに、施設用地の有効利用等を達成した点を「新しい技術」として評価し、技術賞部門賞とした。

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