2020年度 土木学会関西支部技術賞・技術賞部門賞を決定しました
土木学会関西支部技術賞は、土木技術の発展に貢献する優れた業績を表彰することにより、その成果をたたえるとともに支部会員の意識の高揚を図ることを目的として1982年に設けられた表彰制度です。
2020年度は6件のご応募をいただき、選考の結果、技術賞3件と技術賞部門賞2件を決定しました。
技術賞の表彰は、2021年5月21日に開催される「土木学会関西支部第94回支部総会」で執り行われ、受賞者には賞状および楯を授与いたします。(延期となりました。)
なお、掲載の記事・写真・図表の著作権は、受賞団体および公益社団法人土木学会関西支部に帰属します。
技術賞
- 【対象業績】
- 一般国道173号道路災害(地すべり)の調査と本復旧
- 【受賞者】
- 大阪府池田土木事務所
- 【業績説明】
- 【授賞理由】
- 本業績は、長大切土のり面で発生した大規模地すべりに対し、レーザープロファイラーを搭載したドローンによる地形測量のデータを基に3Dプリンターで作成した立体模型を活用し、面的な変状・移動土塊の判読や地すべり範囲を特定するとともに、ロッククライミング工法等の新しい技術を活用することで作業時間の短縮、安全性の確保を図り、早期の交通開放を実現している。その先駆性、汎用性の高さを評価し、技術賞とした。
技術賞
- 【対象業績】
- 梅小路京都西駅新設及び旧鉄道施設の活用による地域活性化
- 【受賞者】
- 西日本旅客鉄道株式会社
- 京都市建設局道路建設部道路建設課
- 大鉄工業株式会社
- ジェイアール西日本コンサルタンツ株式会社
- 【業績説明】
- 【授賞理由】
- 本業績は、営業中の鉄道高架橋の近傍かつ幹線道路上という非常に難易度の高い新駅工事において、ICT技術を活用した3次元シミュレーションや本番に近い条件での試験施工等による施工計画の深度化により、全国初の事例となるホーム一体型鉄道橋の一晩での架替を計画時間内に高精度で完了させた。また、事業完了後も廃止した鉄道施設を活用した地域活性化イベント等を試行的に実施し、地域貢献を行ったことを評価し、技術賞とした。
技術賞
- 【対象業績】
- 地盤沈下の影響を受けた高齢アーチ橋の長寿命化対策~堂島大橋改良事業
- 【受賞者】
- 大阪市建設局
- エム・エム ブリッジ株式会社
- 【業績説明】
- 【授賞理由】
- 本業績は、約90年が経過したアーチ橋に長寿命化対策を施した事業であり、切断法による内部応力の計測等により現況把握を行うとともに、様々な制約をクリアするためにジャッキアップによる支承ピンの交換等の技術を取り入れている。歴史的・文化的にも価値が高い土木遺産の特徴を継承しながら改修し、大切かつ長期に活かしていくことは意義深く、今後のアーチ橋の保全工事の先駆的な事例であることを評価し、技術賞とした。
技術賞部門賞 (喜ばれる技術)
- 【対象業績】
- 安威川ダム建設事業における残土処分地整備について
- 【受賞者】
- 大阪府安威川ダム建設事務所
- 【業績説明】
- 【授賞理由】
- 本業績は、治水を目的とした安威川ダム建設による発生残土等を近隣農地に盛立処分し、農地の再整備を行った事業である。農地を大区画化し、耕作道を全ての農地に接するように整備することで農作業の労力を軽減し、また新たな用水源の確保により施設の維持管理手間を軽減することで、持続可能な農業経営を実現させている。さらに浄水発生土や万博公園バーク堆肥を有効活用させる等のさまざま取組みを「喜ばれる技術」として評価し、技術賞部門賞とした。
技術賞部門賞 (新しい技術)
- 【対象業績】
- おおさかタイムライン防災プロジェクト
- 【受賞者】
- 大阪府
- 【業績説明】
- 【授賞理由】
- 本事業は、甚大化する自然災害への取組みとして「タイムライン防災」に着目し、防災関係機関や地域との連携を図りつつ、「いつ」「誰が」「何をするのか」を時間軸で整理した計画で防災活動を実践している。先行プロジェクトの取組事例を改善し、大阪府全域に取組みを拡げ、地域防災力向上に努めている。先駆的な取組みとして今後の他の事業への参考となることから、「新しい技術」として評価し、技術賞部門賞とした。