行事と募集(教員免許状) 行事開催報告

2017年度教員免許状更新講習 開催報告

土木学会関西支部市民幹事会では、将来の社会を担う子供たちに暮らしを支えている社会資本整備や災害のメカニズムなどを伝えることが重要と考え、土木と学校教育とをつないでいく取り組みとして、学校教育に携わる教職員の方を対象に講習会を開催しています。

『知っておきたい!上水処理と下水処理の最前線』
日 時 平成29年7月27日(木)
場 所 神戸市東灘処理場
主 催 国立大学法人 兵庫教育大学
共 催 (公社)土木学会関西支部
対象者 小学校、中学校、高等学校、特別支援学校の教員36名
講 師 嶋津治希(近畿大学理工学部准教授)
吉住昌将・児玉かんな(神戸市建設局東水環境センター職員)

≪講習時間割≫
09:05~09:10 オリエンテーション
09:10~10:40 講義1 上水道と浄水処理(1)
10:50~12:20 講義2 上水道と浄水処理(2)及び下水道
13:20~14:40 講義3 下水処理と下水道資源の活用、水質測定実験
14:50~15:50 施設見学実習
16:10~16:50 履修認定試験
16:50~16:55 事後アンケート

≪講義≫
 講義1及び2では、近畿大学嶋津先生から上水道と浄水処理及び下水道について講義していただきました。まず、上水道における歴史、上水処理の仕組みなどをパワーポイントスライドおよび動画によって説明されました。次に上水処理で最も普及している急速ろ過方式について詳説されました。その後、受講者は急速ろ過方式で重要なプロセスである凝集処理を観察しました。また、水道水の検査項目や下水道における歴史、下水処理の仕組み、下水道資源について説明されました。
 講義3では、神戸市建設局吉住様から神戸市東灘処理場における下水処理、排出される下水汚泥のバイオガスとしての再利用状況などについて説明していただきました。その後、受講者はパックテストを用いて、持参した身近な水のCOD(化学的酸素要求量)を測定し、見た目はきれいでもCODが高く処理しにくい水があることを学びました。また、生物濃縮槽における活性汚泥中の微生物等の観察もしました。

≪施設見学実習≫
 処理場施設見学では、受講者は下水処理の流れの説明を受けた後、生物濃縮槽、沈殿池などを順次、見学し、処理の仕組みを学習しました。次に、下水汚泥をバイオガスに変える卵型消化タンクの頂部に登り、その形状、仕組み、維持などについて受講者は職員に活発に質問されていました。その後、消化タンクからつくられたバイオガスを精製する装置、実証試験中の消化汚泥からリンを回収装する置を見学し、最先端の再利用技術を学びました

≪履修認定試験、事後アンケート≫
 講義、施設見学実習後に、講習内容に関する履修認定試験に解答し、事後アンケートを実施した後、解散としました。

講座の様子

 

講義風景(嶋津先生)

 

持参した水のCOD測定実験

講義風景(神戸市吉住様)

下水処理施設の見学

アンケート結果 PDF A4 4頁 ( 約380KB )
『知っておきたい!橋の歴史、種類と役割 ~身近な橋から世界一の吊橋まで~』
日 時 平成29年8月2日(水)
場 所 本州四国高速道路(株)神戸管理センター、橋の科学館、明石海峡大橋など
主 催 国立大学法人 兵庫教育大学
共 催 (公社)土木学会関西支部
対象者 小学校、中学校、高等学校、特別支援学校の教員39名
講 師 鍋島康之(明石工業高等専学校 教授)
沼田和也(同志社中学校 副校長)
西谷雅弘(本州四国連絡高速道路株式会社 総括・耐震グループリーダー)

≪講習時間割≫
09:10~09:15 オリエンテーション
09:15~10:45 演習1 トラスの解説と模型作成
10:45~11:15 講義1 橋の種類と構造
11:25~12:05 講義2 本州四国連絡橋の技術と役割
(トラス模型の載荷試験は時間の都合上,希望者のみ)
13:00~15:50 体験実習 橋の科学館見学・明石海峡大橋主塔登頂
16:10~16:50 試験
16:50~16:55 事後アンケート

≪講義・演習≫
 今年度も兵庫教育大学との共催で教員免許状更新講習を,橋の科学館や明石海峡大橋で実施しました.テーマは「橋の歴史、種類と役割 ~身近な橋から世界一の吊橋まで~」でした.
 午前中は,同志社中学校 沼田先生から,すぐに学校で実施可能なブリッジコンテスト形式での演習授業を実施しました.演習では,模型製作時の注意点やグループ作業が不得意な生徒に対する対処法などについて具体的な説明がありました.次に,明石工業高等専門学校 鍋島先生から,橋の歴史,橋の種類,橋の構造について講義を行いました.橋を長くするために色々な構造が考えられていることや材料の使い方を工夫することで強い橋を作成できることなど,様々な橋の特徴を交えて説明がありました.また,世界一の吊橋である明石海峡大橋の建設までの背景,建設するために開発された新技術や新工法,明石海峡大橋を含む瀬戸内海に係る3つの本四連絡道路が開通して物流の変化による経済効果や交流圏の変化などの説明を,本州四国連絡高速道路(株) 西谷先生より説明を受けました.

≪見学≫
 午後は橋の科学館において明石海峡大橋の主塔登頂時における諸注意を受けた後,橋の科学館で展示されている模型についてスタッフから説明を受けました.受講生は午前中に受けた明石海峡大橋で用いられた様々な技術に関する講義の内容を反復しながら,展示物を見て復習しました.その後,舞子側のアンカレッジから明石海峡大橋の補剛桁上を1km徒歩で移動し,明石海峡大橋の主塔に登りました.風が穏やかな晴天で主塔の上は非常に暑かったのですが,見晴らしのよさに受講生は感動していました.その後,補剛桁上を戻り,見学を終了しました.
最後に,本日の講習内容に関する試験に解答し,事後アンケートを実施した後,解散しました.

講座の様子

 

 演習風景(沼田先生) 

 

講義風景(西谷先生)

トラス模型の載荷実験

明石海峡大橋 主塔登頂

アンケート結果 PDF A4 3頁 ( 約125KB )
『知っておきたい!関西国際空港の歴史と技術-世界大交流時代を支える海上空港の役割にせまる-』
日 時 平成29年8月3日(木)
場 所 関西国際空港
主 催 国立大学法人 兵庫教育大学
共 催 (公社)土木学会関西支部
対象者 小学校、中学校、高等学校、特別支援学校の教員40名
講 師 猪井博登(大阪大学大学院)
入江政安(大阪大学大学院)
江村 剛(関西エアポート株式会社)

≪講習時間割≫
09:30~09:40 オリエンテーション
09:40~10:40 講義1,60分:航空とは?,空港とは?,関西国際空港の原点
10:50~11:20 実験,30分:空港の立地計画・環境アセスメントの理解
11:20~12:20 講義2,60分:関西国際空港の建設と技術
13:10~15:10 体験実習,120分:空港の施設を理解する 関西国際空港見学
15:25~16:25 講義3,60分:関西国際空港が果たす役割と最近の取組み
16:40~17:10 履修認定試験,30分
17:10~17:15 事後アンケート

≪内容≫
 兵庫教育大学主催の教員免許状更新講習において,社会基盤施設に関する科目は大変好評を得ていることから,本年度は5講座に増やし,講習を行うこととしたなか,関西空港での講習は2年目となりました.この講習は関西エアポート(株)の強力なご支援のもと実施できたものです.冒頭で御礼申し上げたいと思います.
 初年度のアンケート結果などから,関西空港がなぜできたのか,どうしてこの場所にあるのか,について正しい理解がされていないことがよく分かっていましたので,1年目に比して,その部分についてより多くの時間を配しました.座学の講義については3部構成で実施しました.「講義1:航空とは?,空港とは?,関西国際空港の原点」では,空港とはなにかの基礎知識,また,特に,建設の経緯についての映像などを見せ,関西国際空港が建設に至った経緯について講義しました.初年度は「飛行機は何故飛ぶか」まで説明を行いましたが,本年度は時間の都合で割愛し,空港にどのような設備が必要か,など空港が成立する要素についてお話ししました.「講義2:関西国際空港の建設と技術」では,立地の制約から会場に建設するしか選択肢がなかった海上空港の建設方法や,建設にあたって使われた土木技術について紹介し,特に地盤沈下の仕組みとその対策を中心に説明を行いました.初年度に比べ,関西国際空港では発生しないとされる液状化に関する説明を省き,圧密の説明に時間を割きました.ただ,やはり,土の構造(土がバネと見なせることや水の過剰間隙水圧が載荷重を一時的に支えること)の説明は非常に難しく,改良の余地あるいは実験の実施そのものの見直しの検討も必要に感じられました.
 「講義3:関西国際空港が果たす役割と最近の取組み」では,関西国際空港があることにより社会の何が変わるのか,LCCの就航によって得られた空路利用形態の変化を中心にして述べ,近年の,海外からの訪日客数の著しい増加にどのような対応をしているのかについて講義しました.
   この講義の間に体験実習と実験を内容として入れ込みました.体験実習では,関西国際空港の施設の見学を行い,講義で学んだ空港の設備の見学を行いました.なかでもLCCターミナルの見学や旅客ターミナルの不等沈下対策であるジャッキアップシステムの見学は好評でした.また,実験は,「新空港をつくろう」と題し,都心からの距離,騒音の範囲,建物の高さ制限,風向,建設費の観点から,地図と水深図を組み合わせた机上図を使い,新空港がどこに立地可能かについて地図上で検討する実験を提案しました.騒音の少ない,24時間運用が可能な空港の建設を目標とした場合,ほぼ,現在の関西国際空港あるいは神戸空港付近に海上空港を建設することが妥当であることが参加者にご理解頂けたようでした.最後に,講習内容に関する試験に解答し,事後アンケートを実施した後,解散しました.
   昨年,次年度に向けての課題として挙げられました,休憩時間の少なさについては,講義内容を絞ることで確保されました.また,実験については各参加者で課題としてお持ち帰り頂き,担当教科や学年に応じて,各自でアレンジして頂くことをより良く伝える点については,実験時間を長くし,そのことについて触れるようにしました.次年度に向けては,海上空港建設へ果たした土木技術の重要性を伝えることには十分に配慮しつつも,より分かりやすい都市圏の空港立地計画や環境アセスメントなどの理解の部分を拡張しても良いのでは,と感じられました.

講座の様子

 

 講義風景(猪井先生) 

机上実験の様子

講義風景(圧密の説明)

サンドドレーンの実験

体験実習の様子

講義風景 (関西エアポート江村様)

アンケート結果 PDF A4 2頁 ( 約83KB )
『知っておきたい!地図の作り方から使い方と最新の活用法』
日 時 平成29年8月4日(金)
場 所 兵庫教育大学 加東キャンパス
主 催 国立大学法人 兵庫教育大学
共 催 (公社)土木学会関西支部
対象者 小学校、中学校、高等学校、特別支援学校の教員40名
講 師 鍋島康之(明石工業高等専学校 教授)
真野宏邦(国土地理院近畿地方測量部 次長)

≪講習時間割≫
09:30~09:35 オリエンテーション
09:35~10:35 講義1 地図の作り方
10:45~11:45 講義2 国土地理院HP地理院地図の使い方
12:40~13:40 演習  国土地理院HP地理院地図の操作
13:45~15:05 講義3 地図の使い方
15:15~16:15 実習  立体地図作成,歩測,実体視
16:30~17:10 試験
17:10~17:15 事後アンケート

≪講義・演習≫
 今年度から兵庫教育大学との共催で「地図」についての教員免許状更新講習を実施しました.講習の内容は社会の授業で馴染み深い「地図」の作り方から使い方です.
 午前中は国土地理院 真野(しんの)先生に地図の基本的な内容について講義をしてもらいました.普段,学校の授業で使用している地図がどの様にして作られているのかについて,説明をしてもらいました.地図を作成する際にはいくつかの約束事があり,方位の表し方,緯度・経度,縮尺や地図記号について講義を受けました.また,最新の宇宙技術を用いた地図の作製法についても説明があり,衛星などを使った地図の作成方法に受講生は驚いていました.その後,国土地理院のホームページに掲載されている「地理院地図」の概要や使用法について講義を受けました.
午後は,午前中に説明を受けた地理院地図を実際にパソコンで操作し,地理院地図をベースにしたハザードマップの作成方法について演習を行いました.受講生が一斉にアクセスしたため,ホームページの反応が遅くなるというハプニングもありましたが,一通りの操作方法を学習しました.その後,明石工業高等専門学校 鍋島先生は二次元の地図から,いかに三次元の地形をイメージするか,そのための教材として立体地図や実体視について説明がありました.また,「一般地図」と「主題図」の違いについて説明を受け,主題図のなかでも学校に関係のある「防災マップ」づくりについて実際の作成事例をもとに講義を受けました.

≪実習≫
 実習では,講義で説明された立体地図を作成しました.今回はプラスチックのフタを重ねて富士山の立体地図を作成しました.他にも2つの画像を使って地形を立体的に見る実体視の訓練をしたり,歩測で距離を測定しました.どの実習内容も実際の授業でそのまま使用可能な内容を受講生に体験してもらいました.ぜひ社会の授業で使ってもらいたいと思います.
最後に,本日の講習内容に関する試験に解答し,事後アンケートを実施した後,解散しました.

講座の様子

講義風景(真野先生) 

講義風景(鍋島先生)

国土地理院地図を用いた演習

立体地図模型

アンケート結果 PDF A4 3頁 ( 約128KB )
『知っておきたい!津波・高潮防災の最前線』
日 時 平成29年8月8日(水)
場 所 津波・高潮ステーション(大阪市西区)
主 催 国立大学法人 兵庫教育大学
共 催 (公社)土木学会関西支部
対象者 小学校、中学校、高等学校、特別支援学校の教員44名
講 師 高野保英(近畿大学理工学部准教授)
山本公一(大阪府都市整備部)
関野裕功(大阪管区気象台防災調査課調査官)

≪講習時間割≫
09:00~09:05 オリエンテーション
09:05~09:55 講義1 自然災害の概説
10:05~11:35 講義2 講義および実験実習・気象庁,防災気象情報,防災教育の概説,実験機材の紹介と体験
12:25~13:10 講義3 台風・豪雨の概説
13:10~14:40 講義4 講義および見学実習 津波・高潮の概説,「津波・高潮ステーション」見学
14:50~15:35 講義5 気象情報とその入手方法について概説
15:55~16:35 試験
16:35~16:40 事後アンケート

≪講義・演習≫
 兵庫教育大学との共催で教員免許状更新講習を,大阪府の施設である「津波・高潮ステーション」で実施しました.テーマは「知っておきたい! 津波・高潮防災の最前線」でした.この講習は,東日本大震災以降防災教育の必要性が高まっていることを踏まえて,教育現場の最前線におられる学校の先生方が,津波・台風など災害を引き起こす自然現象の基礎知識を学ぶとともに,「津波・高潮ステーション」の見学を通じて,津波・高潮防災に関する基本的な理解を深めることを目的としています.
 午前中は,まず本講習の目的と日本における自然災害の概要について講義を実施しました.その後,大阪管区気象台防災調査課調査官の関野裕功様から,気象庁の役割,防災気象情報および気象庁が実施している防災教育についての説明がありました.この講義は,学校教育現場での防災活動および防災教育に役立てていただくことを目的としています.終了後,防災教育のための実験機材の紹介と体験の時間を設けました.大阪管区気象台が用意した液状化実験装置やペットボトル竜巻装置やなど手作り可能な実験装置から,津波発生の模型,高潮発生実験装置,雨滴浮遊装置,雨量計や震度計測装置など災害の発生メカニズムの理解に役立つ装置や気象要素の計測に利用される機器など,様々な機器や装置が展示され気象庁の方々からの説明後,実際に操作を体験していただきました.
午後は台風や豪雨の講義に続いて,大阪府都市整備部の山本公一様から津波・高潮に関する講義を実施していただき,その後2グループに分かれて「津波・高潮ステーション」を見学していただきました.「津波・高潮ステーション」では大阪府の職員の方にご案内いただき,展示物による津波・高潮の発生メカニズムやその対策の説明を受け,さらに「津波災害体験シアター(ダイナキューブ)」で津波の恐ろしさを体感できる映像を見ていただきました.この講義および見学では,津波・高潮のメカニズム,その被害,大阪における対策などを学んでいただきました.最後に,防災気象方法の種類とその入手方法に関する講義を実施しました
最後に,本日の講習内容に関する試験に解答し,事後アンケートを実施した後,解散しました

講座の様子

講義風景(関野様) 

実習風景

見学風景(津波・高潮ステーション)1

見学風景(津波・高潮ステーション)2

アンケート結果

PDF A4 3頁 ( 約250KB )

 

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