土木学会関西支部市民幹事会では、将来の社会を担う子供たちに暮らしを支えている社会資本整備や災害のメカニズムなどを伝えることが重要と考え、土木と学校教育とをつないでいく取り組みとして、学校教育に携わる教職員の方を対象に講習会を開催しています。
『知っておきたい!橋の歴史、種類と役割 ~身近な橋から世界一の吊橋まで~』 |
日 時 |
平成28年8月3日(水) |
場 所 |
本州四国高速道路(株)神戸管理センター、橋の科学館、明石海峡大橋など |
主 催 |
国立大学法人 兵庫教育大学 |
共 催 |
(公社)土木学会関西支部 |
対象者 |
小学校、中学校、高等学校、特別支援学校の教員39名 |
講 師 |
鍋島康之(明石工業高等専門学校 教授)
沼田和也(同志社中学校 副校長)
西谷雅弘(本州四国連絡高速道路株式会社 総括・耐震グループリーダー) |
≪講習時間割≫
09:10~09:20 オリエンテーション
09:20~10:00 演習1 トラス模型作成
10:00~10:25 講義1 橋の種類
10:35~11:30 講義2 本州四国連絡橋の技術
11:30~12:00 演習2 トラス模型の載荷試験
13:00~16:00 体験実習 橋の科学館見学・明石海峡大橋主塔登頂
16:20~16:50 試験
16:50~16:55 事後アンケート
≪講義・演習≫
今年度も兵庫教育大学との共催で教員免許状更新講習を,橋の科学館や明石海峡大橋で実施しました.テーマは「橋の歴史、種類と役割 ~身近な橋から世界一の吊橋まで~」でした.
午前中は,昨年のアンケートを反映し,まず沼田先生から,すぐに学校で実施可能なブリッジコンテスト形式での演習授業を実施し,コンテストの運営方法,製作時の注意点や与えるべきアドバイスなどについて説明がありました.
次に,橋の歴史を端緒として,橋の種類,構造について講義を行いました.必要な橋の長さに対しどのような橋が必要か,橋自体の強度を増すためにはどのような部材を利用するのか,橋の設計においてどのような点に留意されるのかなど,様々な橋の特徴を交えて,講義を実施しました.
また,世界一の吊橋である明石海峡大橋の建設までの背景,建設するために開発された新技術や新工法,明石海峡大橋を含む瀬戸内海に係る3つの本四連絡道路が開通して物流の変化による経済効果や交流圏の変化などの説明を,本州四国連絡高速道路(株)西谷先生より説明を受けました.
≪見学≫
午後は橋の科学館において明石海峡大橋の主塔登頂時における諸注意を受けた後,橋の科学館で展示されている模型についてスタッフから説明を受けました.参加者は午前中に受けた明石海峡大橋で用いられた様々な技術に関する講義の内容を反復しながら,展示物を見て復習しました.
その後,舞子側のアンカレッジから明石海峡大橋の補剛桁上を1km徒歩で移動し,明石海峡大橋の主塔に登りました.雲一つない晴天で主塔の上は非常に暑かったのですが,見晴らしのよさに受講生は感動していました.その後,補剛桁を徒歩で戻り,見学を終了しました.
最後に,本日の講習内容に関する試験に解答し,事後アンケートを実施した後,解散しました.
・橋の科学館
・明石海峡大橋ブリッジワールド
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講座の様子 |
演習風景(沼田先生) 講義風景(西谷先生) 明石海峡大橋 補剛桁見学 明石海峡大橋 主塔登頂 |
アンケート結果 |
PDF A4 3頁 ( 約302KB ) |
『関西国際空港の歴史と技術-世界大交流時代を支える海上空港の役割にせまる-』 |
日 時 |
平成28年8月5日(金) |
場 所 |
関西国際空港 |
主 催 |
国立大学法人 兵庫教育大学 |
共 催 |
(公社)土木学会関西支部 |
対象者 |
小学校、中学校、高等学校、特別支援学校の教員38名 |
講 師 |
猪井博登(大阪大学大学院) 入江政安(大阪大学大学院) 江村 剛(関西エアポート株式会社) |
≪講習時間割≫
09:30~09:40 オリエンテーション 09:40~10:40 講義1 航空とは?,空港とは?,関西国際空港の原点 10:50~11:20 実験 空港の立地計画・環境アセスメントの理解 11:20~12:20 講義2 関西国際空港の建設と技術 13:10~15:10 体験実習 空港の施設を理解する 関西国際空港見学 15:25~16:25 講義3 関西国際空港が果たす役割と最近の取組み 16:40~17:10 履修認定試験 17:10~17:15 事後アンケート
≪内容≫
兵庫教育大学主催の教員免許状更新講習において,社会基盤施設に関する科目は大変好評を得ていることから,本年度からは2講座に増加させて講習を行うこととしました.この関西国際空港での講習は本年度新たに設置した講座であり,関西エアポート(株)の強力なご支援のもと,実施できたものです.冒頭で御礼申し上げたいと思います. 講習を企画するにあたり,関西空港がなぜできたのか,どうしてあの場所にあるのか,について正しい理解がされていないのではないか,特に建設当時を知らない若い世代の小中高教員の先生にとっては,そもそもその経緯を知る機会がないのではないか,また,関西空港に関する様々な疑念(津波や地盤沈下など)を放置したままは良くないのではないか,との観点で,構成を検討しました. 座学の講義については3部構成で実施しました.「講義1:航空とは?,空港とは?,関西国際空港の原点」では,飛行機が飛ぶ理由から始まり,空港とはなにかの基礎知識,また,特に関西国際空港が建設に至った経緯について講義しました.「講義2:関西国際空港の建設と技術」では,地盤に関連して発生する災害,公害問題を概説し,海上空港の建設方法や,建設にあたって使われた土木技術について紹介し,特に地盤沈下の仕組みとその対策を中心に説明を行いました.「講義3:関西国際空港が果たす役割と最近の取組み」では,関西国際空港があることにより社会の何が変わるのか,LCCの就航によって得られた空路利用形態の変化を中心にして述べ,近年の,海外からの訪日客数の著しい増加にどのような対応をしているのかについて講義しました. この講義の間に体験実習と実験を内容として入れ込みました.体験実習では,関西国際空港の施設の見学を行い,講義で学んだ空港の設備の見学を行いました.なかでもLCCターミナルの見学や旅客ターミナルの不等沈下対策であるジャッキアップシステムの見学は好評でした.また,実験は,「新空港をつくろう」と題し,都心からの距離,騒音の範囲,建物の高さ制限,風向,建設費の観点から,地図と水深図を組み合わせた机上図を使い,新空港がどこに立地可能かについて地図上で検討する実験を提案しました.騒音の少ない,24時間運用が可能な空港の建設を目標とした場合,ほぼ,現在の関西国際空港あるいは神戸空港付近に海上空港を建設することが妥当であることが参加者にご理解頂けたようでした.最後に,講習内容に関する試験に解答し,事後アンケートを実施した後,解散しました. 次年度に向けての課題として,休憩時間の少なさが挙げられ,また,実験については各参加者で課題としてお持ち帰り頂き,担当教科や学年に応じて,各自でアレンジして頂くことを想定していましたが,もう少しこの点についてはっきりお伝えするべきでありました.実験の時間をより長めにして,例えば高校生向けの実験内容の紹介をするなどして,レパートリーの作り方まで内容に含むべきであったように思われました.全体の時間配分については見直すことにより,より内容の理解が深まるように思われました.
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講座の様子 |
講義風景(猪井先生) 実験の様子 講義風景 (関西エアポート江村様) 体験実習の様子 |
演習資料 |
教員免許状更新講習「新空港をつくろう」 PDF A4 2頁 ( 約1.15MB ) |
アンケート結果 |
PDF A4 3頁 ( 約255KB ) |